2012年5月11日 (金)

私の好きな俳句(層雲5月号より)平成24年

  私の好きな俳句(層雲五月号より)平成24

順不同

イエスマンばかり集めて浪速が揺れる  小堀 彰夫

桜の蕾も震わす二年ぶりのふれ太鼓   小堀 彰夫

山門くぐるおそ咲きの梅のつぼみ    井上 敬雄

春の雨終電車が街の灯きらめき     山崎 文栄

あたたかく芽ぶくものと星がふれあい  山崎 文栄

夢の続きみたくて眠りの仕上げする   宮島 周水

食前食後に薬飲んで蕗の薹       きむら けんじ

緊張の喉にひよこまんじゅうは無理   きむら けんじ

靴をそろえておこう春風に向けて    久光 良一

もうゆっくり歩こうこの道       伊藤 千代子

太陽が昼寝している丘の上       三好 千峰

月どこまでもくっついてくる月のストーカー 

                   三好 千峰

ほどほどに生きて梅の花ざかり     内藤 邦生

厨に夕陽射し今夜の献立あれこれと   荒金 奈留

急ぎ逝った友の笑顔が残る古いアルバム 内田 サヨ

晴天どこにも嘘は隠せない       辻上 小百合

ためらいながら落ちる日へ一両電車がゆく 吉原 恭仁子

肩に小雪乗せ何を笑む露座佛      上原 多喜治

母の三倍も生きて未だ迷うておる    小川 蝸牛子

遠く近く田を墾る機械の音たけなわ   小川 蝸牛子

こんなにも丸い月でもうあなたはいない 夏目 雅子

足跡も無い冬の砂浜波音ばかり     佐瀬 広隆

定年も近い春浅い空のひばり      佐瀬 広隆

体調しだいでしたいこと山程ある    下村 鳴川

バケツにみかん山盛り産地直売     下村 鳴川

セシウム入りの蕗のとうも芽吹くこの頃の春 

                   滝沢 忠義

思い出ばかり残して終わる冬のかもめ  鶴田 育久

死を報じるテレビ孤独はだれしも    藤原 よし久

もう一度と母に抱かれ納められる    安田 十―

葉桜、ここまでどじょう食べに来ている 和久田 登生

健康で何よりコトコト鍋が奏でるリズム 渡野辺 寿美子

風がしきりに覗きたがる窓少し開いとる 渡野辺 朴愁

歌を唄ってやる私をじっと見ている   池田 常男

            病妻を詠む

私の歌をうまいと言ったぜ       池田 常男

からだ揉んでやるじっと目を瞑っている 池田 常男

ゼリーをやるひな鳥のように口をあける 池田 常男

手をと言う少し船に酔った様子の足もと 池沼 両間子

外に脱いだ靴に少し雨がかかっていたなど春

                   池沼 両間子

ときに悟りめいて小高くかぜに吹かれる 木俣 史朗

わかるよのひと言ほしい花いちもんめ  小山 貴子

椿の花はゆりかご、揺れながら蜜吸う  斎藤 實

今の暮らしを是としぼつぼつ膝の治療  塩地 キミヱ

豊満とは言わず少し太目な早春の川幅  清水 福司

  層雲五月号(平成24年)より抄出 下村 鳴川

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2012年4月 9日 (月)

私の好きな俳句(層雲四月号より)平成24年

  私の好きな俳句(層雲四月号)平成二十四年

順不同

捨てねばならぬまた本買ってくる      宮島 周水

誰にも言えないこと一つや二つに雪の積る  宮島 周水

戯れのようにバラが散り正月の太陽     山崎 文栄

朝積もった雪が消えていく夕日の影     山崎 文栄

予報どおりの雨予定どおりだった一日    久光 良一

今日の仕事はここまでと目薬二滴さす    久光 良一

おでん鍋ぐつぐつ煮込んで通夜に出る    平岡 久美子

さくらが咲いて地球がやさしい顔になる   井上 泰好

暮らしの片隅で金のなる木咲き続く     松尾 尚子

わが街にほれぼれ一望の冬景色       泉沢 英子

別れたはずの雪女が通せんぼしている    平山 礼子

お喋りがつきない窓越しの小さな陽溜り   埋田 貞子

蛸も蟹も海の仲間熱燗にする        那須田 康之

太郎も次郎も夢のなか月冴える       那須田 康之

酒蔵の鬼ころしの強き香りを飲む      内藤 邦生

どの家もひそとしている川沿いの道     斉藤 静江

人に甘える事もなく猫は路地に生きる    伊藤 千代子

約束はいらないこの世であえたのだから   夏目 雅子

梅林の絵清しい病院の待合室        大岳 次郎

終の棲家に馴染めない日記を閉じる     堀切 博昭

今夜は月と一緒に歩いて帰ります      三好 千峰

とりどりの錠剤数え一日更新する      上原 多喜治

粉雪ちらちら広い空を風と遊んでる     吉原 恭仁子

ふかし芋に笑顔が集まる窓の粉雪      荒金 奈留

早朝の静けさ耳鳴りがじゃまをする     内田 サヨ

地球丸ごとおかしい月にでもゆくか     小川 蝸牛子

嫁いでゆく手を取る父のヴァージンロード  佐瀬 広隆

豆の粒ほどの願い撒くふたりとなり     佐瀬 広隆

水たまりのネオンが雨に笑っている     高田 弄山

白い花、赤い花同時にくずれる       山口 穂銘

              遺句 五句

みんな逝ってしまいさみしい        山口 穂銘

命の限り生きてみよう           山口 穂銘

また夕暮れがきた灯をつける        山口 穂銘

今日はよい日だったあの人が来てくれた   山口 穂銘

全面凍結、滝は音を失い人は息を呑む袋田の滝)

                     清水 福司

振返っても詮なし老いふたり林檎半分んこ  清水 福司

こんな世相に屈託もなく笑ってる年輪    下村 鳴川

なんの抗いもなく今日が終わろうとしている 下村 鳴川

車椅子押してもらって脳梗塞の長い歳月   田中 伸和

月光孕み更けて独りちるさくら       鶴田 育久

あちこち痛いとこ許り節分に豆まかぬせいか 野田 有竹

今朝は雪病院通いとりやめ冬籠りとする   野田 有竹

となりまできている春 つぼんでいる    藤原 よし久

またひとり減った友の訃報の春       藤原 よし久

いましばらく生きなさいと月が云うので   藤原 よし久

風に散ってきて暫くはうちの蝶になる    松本 千英子

憎き癌もろとも焼き尽くされた骨拾う    安田 十―

幼いころより軽くなった白い箱抱く     安田 十―

飾る花の多さが母としての悲しみ      安田 十―

そちらでもきこえますか春のあしおと    安田 十―

耳が遠いのにまいにち二本くる牛乳     和久田 登生

はるたけなわ小さなものを無くす      和久田 登生

よいおしめりです此方のめがねかける    和久田 登生

人の心のうらおもて雪は白く降る      渡野辺 寿美子

話しに裏がありそうな窓の昼月       渡野辺 朴愁

田舎者には西も東もないぼんやり駅前の噴水 渡野辺 朴愁

葬式を帰って生きていれば私の日常     池田 常男

とぼけば君の優しさ呆けた占いしてくれる  池沼 両間子

傘ひらいて雨音という程の春先の雨     池沼 両間子

雪に雪降るひとり茶筅をおく        岸本 寿山人

いつの間にかこの歳にまだ逝く気はしない空 岸本 寿山人

思わぬ雪が遠州街中は白い戸迷い      木俣 史朗

寒のもどりが膝に伝わるバス停       小山 貴子

テレビに笑ってもやけに寂しい       斎藤 實

きれいなお話しで耳がかゆい、電話おく   斎藤 實

卒業が近い孫の成長薄化粧         塩地 キミヱ

   平成二十四年層雲四月号より抄出 下村 鳴川

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2012年3月 2日 (金)

私の好きな俳句(層雲三月号より)平成24年

  私の好きな俳句(層雲3月号より)平成24

順不同

一人けんけんぱしている少女の三つ編み 大川 アツ子

お笑い好きな母子でゲラゲラ真夜中   南家 歌也子

夕陽ドボンと落ちるドボンと音する   小堀 彰夫

意に沿わぬもどかしさの洪水に居る   宮島 周水

ちょう花の風にたわむれる       井上 敬雄

鉄塔が立ち止まったまま冬になっている 久光 良一

さよならは言わずまた来ると言って別れる 久光 良一

雑煮一つふるさとは海から明ける    井上 康好 

賀状は今年限りとある寒い夕日     泉沢 英子

春まだ浅いどの折紙を選ぼうか     那須田 康之

少し酸味が好きの無人の売る場の蜜柑  富田 彌生

大師のお守り素直に身につけ生の裏表  木俣 とき子

カレンダーに〇付けて私だけの記念日  市川 一子

除夜の鐘聞きゝ兎は月へ帰ります    三好 千峰

正月の空にいっぱいある星       山崎 文栄

一番咲きの水仙仏壇に供えほのかに匂う 荒金 奈留

新春、しなやかな象の鼻が書く辰の字  小川 蝸牛子

お年玉ねだる孫もなく元旦老いている  小川 蝸牛子

冬の花サザンカとして咲く       山口 穂銘

雪ふる今日も雪ふる          山口 穂銘

龍の玉 倖せの色さみしい色      清水 八重子

生きていればこそのこの朝の新雪踏む  平山 礼子

父の形見の白い山茶花大つごもり    塩地 キミヱ

正月がこんなに寂れて白い風吹く    清水 福司

限界集落めく山里の柚子たわわ     清水 福司

妻の墓はふるさとの空を見ている    下村 鳴川

老いては子に従え元日は妻の墓にくる  下村 鳴川

野鳥どこに行った南天赤々と雪の中   滝沢 忠義

雪降れば雪に祥月命日の団子供へる   田中 伸和

初詣でまっすぐ歩き少し若がえる    松本 千英子

雀ごきげん温い庭の初日ついがむ    松本 千英子

思わぬ出逢いコーヒー一杯が日を落とす 松本 千英子

寒にしてはいい日ざし隣の椿もも色   松本 千英子

まだまだ生きたかったトウソクが揺らぐ 安田 十―

いくら飾りあげても弔いの花      安田 十―

米を搗いて糠は畑のこやしとし はる  吉浦 俊雄

松竹梅冴えてしずかに明けてくる    吉岡 憲生

山はうっすら雪ぞらにいただく     吉岡 憲生

白い小花が舞い赤い南天にみ      吉岡 憲生

裏へまわってもお留守の椿ひっそり   和久田 登生

風の視線の先に遠く光る海       渡野辺 寿美子

何度出会っても忘れているこの笑顔の名前 渡野辺 朴愁

熱いコーヒーまだ暫く生きられるか   池田 常男

寒うい日に木札がゴミ当番だとさ    池田 常男

私にこんな時代はなかった成人式の写真見る

                   岸本 寿山人

ダム湖も春への兆し道の駅ひるどき   木俣 史朗

誘えばすぐについてきそうな犬で寒空  小山 貴子

ひたひたとお百度参りの石の音     小山 貴子

霙の音聴きながら一つの傘 二人してゆく斎藤 實

  層雲3月号より抄出   下村 鳴川

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2012年2月12日 (日)

私の好きな俳句(層雲二月号より)平成24年

 私の好きな俳句(層雲2月号より)平成24

     順不同

白いハンカチ胸に手品師の真似する  小堀 彰夫

つまづいた石に原点問われている   久光 良一

主婦業終りがない暮れて寒い厨に立つ 松尾 尚子

おひさまにつつまれ坂道を下る    大川 アツ子

喜びがこんなところに銀杏一枚を拾う 山崎 文栄

亡き父の誕生日と書いてあるカレンダー 井上 敬雄

寒く晴れて一片の雲         那須田 康之

ナフタリンの匂のシャケットは広島の人から

                  平山 礼子

一合の米を洗う指の間固く閉じ    加藤 えみ子

あれこれそれで解る二人です     市川 一子

庭に日々の野菜育てて老いている   伊藤 千代子

この事は書かないでおこう日記を閉じる 外山 喜代子

家中にお汁粉匂わせて母の命日    ちば つゆこ

甘酸っぱい黄金色のきんかんを噛む  堀切 博昭

由布岳の紅葉めでつつ行く高速道   荒金 奈留

流木に活けた石路の花に蝶が来ている 内田 サヨ

明日も生きたい私の思い       山口 穂銘

風に取られた帽子とり返す      斎藤 實

しわしわの母の手を握り老人ホームの別れ

                  塩地 キミヱ

皆それぞれの病持ち待たされている  清水 福司

入院しても只寝ているだけのテレビ見ている

                  下村 鳴川

花火打ち上げて迎え火とする村のお盆 田中 伸和

木枯らしが急がすくらがりの鍵穴さぐる 松本 千英子

合性よかったね墓標に冷雨くる    吉岡 憲生

いちにちピョロロ空が真空      和久田 登生

やり残しばかりで正月来ている    池田 常男

私が降りたら空になったバスが行く  岸本 寿山人

私を見つめる冬の小川が清く流れる  岸本 寿山人

愚痴はこぼすもの母娘に電話更けている 木俣 史朗

   下村 鳴川 抄出

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2012年1月31日 (火)

層雲自選作品(平成23年年度より)下村鳴川選

 層雲年間自選作品(平成23年度) 下村 鳴川選

そこまで来ている春に口紅を買う    荒金 奈留

日に何度も地べたが揺れて固定資産税  池田 常男

寝るには早くて宿のテレビが地方の番組 池沼 両間子

花が雨になる一日延ばしの返事     泉沢 英子

子供唄って母さんと手繋いで通る    伊藤 千代子

無口な夫が笑っている旅のスナップ   内田 サヨ

うちのとんぼお隣りのとんぼ仲よく盆がくる 小川 蝸牛子

亡き妻の夢見てをんなを描く      岸本 寿山人

瓦礫はねのけた枝先が蕾もつ      木俣 史朗

のれん、木枯らし鍋はじめました    斎藤 実

軽く手を上げ東京へ帰る子の後ろ姿   塩地 キミヱ

狂乱の海が嘘のよう寄せては返す白波  清水 福司

整理する本から落ちた色褪せたハガキ  富田 弥生

母の字で送られてきたふる里の味    那須田 康之

はにかんでうつむいてきんもくせいが匂う 久光 良一

ネクタイ結ぶ鏡の中の自画像      藤原 よし久

天主堂の島へ雨の向こうから橋が架る  吉岡 憲生

このところ月があかるい木瓜の実    和久田 登生

母の形見の時計が刻む遠い想いで    渡辺 敬子

原発に安全神話はない白い花びらの震え 渡野辺 寿美子

短評 三句 抄出

そこまで来ている春に口紅を買う    荒金 奈留

 春遠からじとは、女性ならずとも待ちかねた春の到来は華やいだ気持ちにさせて   くれる。

 そんな女性の気持ちが口紅を買わせている。微笑ましい。

ネクタイ結ぶ鏡の中の自画像      藤原 よし久

 職業柄ネクタイを締めた制服姿であったが定年後は滅多に締めることはない、この句にある「鏡の中の自画像」に人生の年輪が感じられる

このところ月があかるい木瓜の実    和久田 登生

 このところ世情のニュースはまだしも明るくない、「このところ月があかるい」作者の心にこう言わせる月の明るさが庭先にある木瓜の実に光り輝いている。

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2012年1月16日 (月)

私の好きな俳句(層雲新年号より)平成24年

  私の好きな俳句(層雲新年号より)平成24

    順不同

はにかんでうつむいてきんもくせいが匂う 久光 良一

喪中の葉書が増えて今年も暮れる     堀切 博昭

そんなこともあった風が呼び戻す記憶   松尾 尚子

赤ちゃんには赤ちゃんのくしゃみ     井上 敬雄

山の柿のみえるお寺で写経する      井上 敬雄

ふるさとの雨戸開け放ち雀戻っている   佐瀬 広隆

秋の色を画帖に置いて畑のけむり     那須田 康之

老いて小さくなった私と並ぶ記念写真   富田 弥生

追肥する鍬を休めてしばし見上げる空   内藤 邦生

虫の歯形そのままに柿の落葉       外山 喜代子

我が家の炬燵に睡魔が潜んでいる     市川 一子

細く長く人生いろいろあっていい     三好 千峰

来て見れば町角の本屋無くなっていた   村田 徳子

四十年前の給料袋、又箪笥にしまい    村田 徳子

孤立した煙突の夕陽にながれる雲     山崎 文栄

数羽の雀が枝におさまり夕暮れる     山崎 文栄

赤線増える住所録百までに十五年     上原 多喜治

石畳にぽっくり鳴らし京の秋日和     吉原 恭仁子

記憶さっぱり途きれ池に浮く晩秋     吉原 恭仁子

足湯に浸り今日の幸せを帰る       内田 サヨ

湯豆腐の看板にひかれた清水寺の参道   荒金 奈留

乗る人も降りる人もない無人駅の猫一匹  小川 蝸牛子

彼岸花の小径を歩く           山口 穂銘

懐かしいシスターの笑顔が近付く駅の雑踏 塩地 キミヱ

地球騒然、ことし当り年か柿が鈴なり   清水 福司

がんばっぺとは言うもののみんな年寄り  清水 福司

刈り終えた田圃の風景を緑平雀が飛び立つ 下村 鳴川

庭の片隅にひっそり咲いて石路の花(緑平居)下村 鳴川

病院の今朝の窓はマグリッドの空     滝沢 忠義

文字を書く練習が日記となる病院の秋   滝沢 忠義

北米から来てポポーの熟れた匂い     田中 伸和

首相はお孫なんですか主治医冷かし鴉はカー野田 有竹

余生、句作り仕事の一つにしている    藤原 よし久

生家の緑うすれ川がひそと秋を流す    松本 千英子

よい月ですね回り道して行きますか    安田 十―

誰も振り向かないつわの花此の道     吉岡 憲生

心すっぽんぽん雲をことばにする     和久田 登生

穂すすきに風を残し日暮れ早まる     渡野辺 寿美子

わたしの気持ち見越して曇り勝ちな眼鏡  渡野辺 朴愁

これ迄何してきたか歳とった気がしない  池田 常男

野の花も一桶おいて花屋に馴染んだ嫁さん 池沼 両間子

あちこち柿熟れても採る人がない花である 岸本 寿山人

人生場違いの席もありナプキン膝におく  木俣 史朗

 層雲新年号(平成24年)より下村鳴川 抄出 

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2012年1月13日 (金)

私の好きな俳句(層雲12月号より)平成23年

  私の好きな俳句(層雲12月号より)平成23

      順不同

わたしの知らないわたしを見られている  久光 良一

ぱたぱた夜のスリッパ秋が付いてくる   大軒 妙子

黄金田の脇ゆく車窓の人となる      宮島 周水

何気ない風景に心置き風の余裕      谷田 越子

お布施の山を築く地獄の沙汰も金次第   井上 泰好

この国を気遣う神父のやわらかい手だ   平岡 久美子

十五夜の明るさへ虫の鳴く        井上 敬雄

言い訳あきらめてめし炊いている     きむら けんじ

河原町の喧騒の京に来ている       平山 礼子

スーパーの陳列秋があふれている     小堀 彰夫

私の笑顔が大好きだった亡父のために笑う 南家 歌也子

恙無く生きて空海の読経聞く寺      内藤 邦生

背を吹く風が菜の花匂わせている     泉沢 英子

笑ってごまかしたあの日の悲しい靴紐   伊藤 千代子

来春は卒業どんな花になるやら      那須田 康之

見知らぬ人の微笑みが今日の宝物     鈴木 憲

天高く藁の匂う村に来ている       外山 喜代子

ちょっと乗せられて頑張ってみたいあまのじゃくちば つゆこ

またおこしやすうと語尾が否定音     ふゆき れいこ

遅ればせながらぼくが十月の朝顔です   大岳 次郎

ふるさとは秋の七草日が暮れる      三好 千峰

ここにも彼岸花が咲いている朝の散歩道  三好 千峰

夢の中で若い日々楽しんでいる      堀切 博昭

町ん中の田圃彼岸花の行列です      村田 徳子

部屋にいても木犀が匂う月夜       山崎 文栄

先は見えた ゆっくりでいい此の道    小川 蝸牛子

いま世の中は神々の怒りをかっている   山口 穂銘

近況報告呑み忘れた錠剤が白湯とある   木俣 史朗

寂しい日 真黄な蝶が秋をよこぎる    斉藤 實

お寺の森がめっきり秋めく赤い橋渡る   清水 福司

たわわな柿の熟れ落ちて無人の家     清水 福司

あの日のように天得院さまの読経はじまる 下村 鳴川

句碑とおなじ句が掛けてあるあの日のように下村 鳴川

夕日いっぱい受けて笑う女と少年    田中 伸和

雨音もはんなり瓦をなめて春の京の宿  鶴田 育久

ひたむきに咲き続くコスモスの秋    藤原 よし久

風に中のしあわせ蝶高くもつれとぶ   松本 千英子

あめふるつくずく心にふるあめ     安田 十―

秋海棠に蜆蝶がくる 祭りの後     吉岡 憲生

君と方向が違う夕日をみている     和久田 登生

このところ月があかるい木瓜の実    和久田 登生

砂時計の砂サラサラ落ちて私のいのち  渡野辺 寿美子

降るだけで足りぬ雲が風をけしかけ窓を打つ渡野辺 朴愁

土産にと一つ味見してこの餅の塩味   池沼 両間子

仰ぐ青空が光ってなびく芒の穂     岸本 寿山人

 層雲12月号より(平成23年)抄出 下村 鳴川

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2012年1月12日 (木)

私の好きな俳句(層雲11月号より)平成23年

  私の好きな俳句(平成2311月号層雲より)

しばらくは白壁に朝焼けうつしている    井上 敬雄

しゃれこうべなぞる手が浄土たしかめる   宮島 周水

夕あせた夢がころがっている夏の終わり   大川 アツ子

夕立少し軟らかくなる夏の終わり      小堀 彰夫

先に花ある墓にまた花を供える       きむら けんじ

カレンダーめくっても夏が続く百日草    松尾 尚子

濡れた手より釣銭貰う土産のわさび     泉沢 英子

噴水広場の夕焼け赤トンボの数       山崎 文栄

夏の終りの有刺鉄線を越える        平山 礼子

子どもと一緒に子どもになって赤トンボ   那須田 康之

わが庭に蒔く水の青紫蘇匂う日々      内藤 邦生

欠席の理由(わけ)言わないコスモス揺れている 富田 弥生

秋が来たり行ったり子犬の寝相       ちば つゆこ

この風持帰りたい蕎麦畑にいる       市川 一子

うつむいて首振るばかりのねこじゃらし   ふゆき れいこ

こんなところに道祖神むかし道がある    三好 千峰

余生風にまかせ故郷の墓地の暮れ時     吉原 恭仁子

余生のシナリオ何もない血圧測る      上原 多喜冶

団扇のやわらかな風を戴いておる      前田 佐知子

省エネに一役風呂上がりの渋うちわ     内田 サヨ

陽炎ゆらゆらサルビア真紅にもえる     荒金 奈留

すり寄る猫になんにもないポケット     小川 蝸牛子

井泉水師が青島を訪れた日がなつかしい   山口 穂銘

今日も何事もなく終るそんなストレス    久光 良一

一仕事終え秋かぜのふうりん        佐瀬 広隆

思いがけぬ老齢も姉との差縮まらず     岸本 寿山人

咲けばわが深層へ魔性めく曼珠沙華     木俣 史朗

さようならの手が大きく振れて曼珠沙華   小山 貴子

よく聞けば蝉の歌にもへたな奴いる     斉藤 實

祖国が壊れて行く何かがおかしい      塩地 キミヱ

すぐそこの秋を信じ耐えている熱帯夜    清水 福司

磯の香りたつ荒浪が洗う過去未来      清水 福司

誰ともなく声だしてみる懐かしむこころ   下村 鳴川

せこし風が出てきたせめて夕べのことする  下村 鳴川

安全という言葉が死んだ311の辞書    滝沢 忠義

遅れ馳せの秋風に何はともあれ善光寺詣り  滝沢 忠義

雨降れば葱飯を炊く女と夫の命日      田中 伸和

金木犀の咲いた夜は月がその匂いになる   田中 伸和

「なでしこ」案山子の勇姿稲田豊作豊作   野田 有竹

ひとしきり思案してカラス山へ帰る     藤原 よし久

弱音吐くまいてんとう虫当てもなく飛ぶ   松本 千英子

はらはら秋の花こぼして一人暮らし     安田 十―

指先から醒めてくる透明体の蝶       吉岡 憲生

息災有難し病院の廊下静かにあるく     和久田 登生

とまるところ探しあぐねて炎天を舞う蝶   渡野辺 寿美子

鳥は虫はどこに潜む降りに降る雨      渡野辺 朴愁

朝夕涼しく晩まで咲いている西洋朝顔    池田 常男

水門に嵐の跡が蜻蛉止まると蜻蛉がくる   池沼 両間子

 しばらく体調不良のためパソコンから離れていました。

 112日ボチボチ始めました。下村鳴川 生

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2011年10月 4日 (火)

私の好きな俳句(層雲10月号より抄出)平成23年

  私の好きな俳句(10月号より抄出)平成23年

         順不同

満月を掘り起こした道路工事      小堀 彰夫

心溢れる日々満天の星で掬う      小堀 彰夫

シャベルで満月拾い上げる雨上がり   小堀 彰夫

燃え滾る太陽に蝉一羽溶けそう     小堀 彰夫

仏壇静にほほ笑む戴いた葡萄      小堀 彰夫

亡母の戦後が思われる裏地の継ぎ接ぎ  大軒 妙子

向日葵の影に何かを隠した蝶      内藤 邦生

風のどこを飛んでいても赤トンボ    内藤 邦生

遺影にコスモスの花影揺れている    内藤 邦生

想い出もコスモスの径をさまよう    内藤 邦生

無茶苦茶な渦が引いた新盆       宮島 周水

汗かいてる蟻がいる夕立ち前      宮島 周水

置いてきぼりのまま 絵葉書の海の色  高木 架京

娘が髪をほどく ここちよく風鈴の音  高木 架京

蝉のように子は泣き母は臨月      きむら けんじ

夕立ちが遠山まで透明に少し涼しく   山﨑 文栄

蝉一途に鳴いて遠い日の少年少女    大川 アツ子

あの日言いそびれた言葉が胸にある   大川 アツ子

ちょう二つ 円をえがいてゆく     井上 敬雄

その箱振ればわたしの骨の音がする夏   久光 良一

今朝も鳴きはじめてまだ死ねない蝉である 久光 良一

最後を託す息子一家と夏休み      平岡 久美子

寝るも面倒なうつらうつら日付変る   木俣 とき子

陰口は聞かぬことに心太をすする    泉沢 英子

核の十字架背負ったままどっかと平和像 宮本 卓郎

暑い暑いが口癖で長くのびている猫   松尾 尚子

終戦記念日ふと甦る青春の縮図     斉藤 静江

レースのカーテン夏を孕む       佐瀬 広隆

蝉しぐれの蝉一つきて喜んでいた亡父  佐瀬 広隆

カナカナと鳴きたそがれが降りてくる  萱沼 良行

気持ちをシフトできないおぼろ月    萱沼 良行

サルビアの駅でわかれたまんま     平山 礼子

マジでと訊かれてマジと答える     平山 礼子

庭を見ている 胸にある段差      加藤 えみ子

風よ吹け扇風機も疲れてる       市川 一子

異常なしとは言え老いては老いの体力  富田 彌生

母譲りの浴衣です高三の夏       那須田 康之

理不尽なこと蝉の小便         那須田 康之

死と向き合う勇気もなくて猫じゃらし  埋田 貞子

雨がくれた優しい時間にめくるぺーじ  伊藤 千代子

朝顔の数をかずえて何でもない日    伊藤 千代子

孫と一緒ひまわり畑を見に行くの    ちば つゆこ

考えてもしょうがない先のこと     堀切 博昭

一病息災今日も汗する         堀切 博昭

マスカット 絵手紙の青いひかり    漬水 八重子

靖国の八月十五日の蝉しぐれ      大岳 次郎

補聴器は何もきいてくれない今日が始まる 三好 千峰

お盆 ふと亡き母の声を聞く      村田 徳子

地平線はみ出た雲が吹き渡る風のアート 吉原 恭仁子

生け垣のやわらかな緑が匂う朝を歩く  荒金 奈留

真赤なバラが咲いた朝の太陽      内田 サヨ

静かに秋の気配をもち裏のカボチャの花 前田 佐知子

痩せた影が素直について来る 炎天   小川 蝸牛子

なつかしや、元気だったころ      山口 穂銘

昔唄った里の秋ふるさとの陽が落ちる  井上 泰好

旅先から贈るものに一葉の秋を添え   池沼 両間子

日々ふくらむ稲穂原子力成分なしと太陽 岸本 寿山人

打ち水に声かけて顔見知りの路地抜ける 木俣 史朗

長雨の後の不機嫌なトマトを買う    小山 貴子

乾杯、ジョッキでビールが喋り出す   斉藤 實

悲しみひとつ消せない消しゴム鬼やんま 塩地 キミヱ

原発事故の余波プールに水の無い夏   漬水 福司

蝉が熱中症を避けて鳴きやんでいる   下村 鳴川

たくさんの初盆を迎えたふるさとです  下村 鳴川

神も仏も信じない世だが盆には墓に参る 滝沢 忠義

大きな欠伸して涙溜めている月     田中 伸和

野党足引く許り気象異変で河童でも出現か 野田 有竹

月が捨ててあるぞとかわず鳴いている  藤原 よし久

連日の猛暑の不安老いにかぶさる    松本 千英子

    平成23年10月層雲より抄出 下村 鳴川

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2011年9月14日 (水)

私の好きな俳句(層雲9月号より)平成23年

  私の好きな俳句(層雲九月号より抄出)平成23年

順不同

雨真っすぐ降り苔の中のねじり花     山﨑 文栄

しらじらあけるさえずりきいている    井上 敬雄

新しい風がくるラベンダーの畑より    高木 架京

凪いだ海はやさしい嘘である       久光 良一

ちょうちょうひらひら野の花と口づける  佐瀬 広隆

今だからこそ言える話もあり梅雨明ける  平岡 久美子

ざんねんな父よシャツ前後ろ       きむら けんじ

夜更けの月が覗いてる誰もいない座敷   大軒 妙子

隣の椅子が氣になるつば広の帽子     宮本 卓郎

被災地思えば何でも我慢できる日々草   松尾 尚子

念仏となえても煩悩捨てずにいる     宮島 周水

刺青の背中の牡丹に鍼を打つ       平山 礼子

月に顔色のぞかれて眠る         萱沼 良行

宅急便です台風一過の涼しさ届く     泉澤 英子

枝豆色よく夏はやっぱりこれだネ     伊藤 千代子

赤信号しばし電柱の影に身を置く     齊藤 静江

亡父と亡母転ばぬよう去り行く送り火   木俣 とき子

花壇の花は花盛り人の降りない無人駅   鈴木 憲

とんぼうにお帰りなさいと迎え火     ちば つゆこ

母に貰った歯もみんな抜けた       夏目 雅子

姑の羽織で作ったベストの春を着る    内田 サヨ

眼鏡上げ下げし針より太い糸の先     上原 多喜冶

うちのとんぼお隣りのとんぼ仲よく盆がくる

                    小川 蝸牛子

あったのかなかったのか、さっぱり記憶がない

                    山口 穂銘

「平城山」を歌ったくらいで涙もろくなった 池田 常男

あと一日おけばのトマト土産の足しにもぐ 池沼 両間子

忘れていた笑いディサービスが引き出した 岸本 寿山人

稲藁には罪はない牛小屋ひたすら黙す   木俣 史朗

猫と暮らせばいつしか甘え声になる    小山 貴子

扇子の風涼しくいただく、女人の隣    齋藤 實

やがて終りが来る旅の二人のねじ花    塩地 キミヱ

合歓咲いて放射能まみれの猛暑降る    漬水 福司

瓦礫の向うを大漁旗が出ていく      下村 鳴川

海のロマンも屠殺して知らぬ顔の海の凪ぎ 滝沢 忠義

首にホクロがあって笑っている女     田中 伸和

つゆ明けぬにこの暑さ 新幹線に赤蛇お客 野田 有竹

どうしてもそう見える月の異常心理    和久田 登生

白桃の皮するりとむけて夏真っ盛り    渡野辺 寿美子

台風がつい其處へ気弱な飼犬が吠える   渡野辺 朴愁

  平成23年層雲9月号より抄出 下村鳴川

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